妊娠初期の妊婦さんはもちろん葉酸の摂取が望ましいのは「妊娠中・出産後の女性」

葉酸の摂取が望ましいのは?

葉酸の重要性については、海外をはじめ日本国内でも、さまざまなケースが実証されています。ここでは、葉酸が「どのような方におすすめできるのか」葉酸の摂取が望ましい方について、詳しくご紹介したいと思います。

ホウレンソウ

葉酸は、ビタミン12と一緒に赤血球を生成するほか、細胞の再生を助け、DNAの生成にも不可欠な栄養素です。葉酸を正しく摂取すれば、新陳代謝を促し、健康な毎日をサポートしてくれます。

特に、妊娠期や授乳中の女性は「母体と胎児の健康」のため、葉酸の摂取が推奨されています。正しい摂取により、神経管閉鎖障害の発症リスクを低減するほか、胎児のアレルギーや健康リスクを低くする、重要な役割を果たしてくれます。

葉酸の主な働き
葉酸の機能 健康への効果
ホモシステインを抑制 動脈硬化、アルツハイマーを予防
神経細胞の補修 痴呆症、うつの予防
ビタミンB12と赤血球を生成 ビタミンB12と赤血球を生成
補助酵素としてDNAの生成を行う 口内炎、潰瘍の予防のほか、新陳代謝を高め、細胞のがん化を予防する

クリニック

また、葉酸を摂取することで、動脈硬化や認知症、痛風、成人病を予防するほか、最新のデータでは「乳がんの発症率を低下させる」などの結果が、上がっています。

葉酸は妊娠中、出産後に必要な栄養素!

欧米では「葉酸と受胎前後」の健康状態について、早くから研究が行われてきました。結果、葉酸が「神経管閉鎖障害の発症リスクを低減する」といった検証結果が、多数報告されています。

赤ちゃん

日本においても、厚生労働省などの働きによって「妊娠中の女性は、1日あたり480μgの葉酸摂取」を推奨するようになりました。

葉酸を摂取することで、妊娠中に起こりやすい妊娠中毒症の改善、悪性貧血のほか、胎児の成長に欠かせない細胞の生成、神経管の先天異常の発症を予防するなど、健康への効果が、大きく注目を集めています。

妊娠中や授乳中は、葉酸が不足しがちになります。この場合(食事を通して)葉酸の多く含まれる食品を摂取し、足りない分は健康補助食品(サプリメントなど)で、補うと良いでしょう。

ただし、1日あたり1mgを越える摂取(過剰摂取)は、副作用を起こす危険性があります。正しい容量を守り、バランスの良い摂取を心がけましょう。

成人と葉酸・毎日の健康維持に効果アリ

私たち成人(20歳~70歳)の葉酸摂取は、平均200μg以下と言われています。健康に必要な推奨量が「1日240μg」ですから、普通の食事だけでは、必要な葉酸が不足する計算になります。

足りない葉酸は、食事からの摂取やサプリメントなどで補うようにしましょう。葉酸の吸収を高めるには、ビタミンCやビタミンB12、鉄分と摂取すると効果的です。

葉酸と摂取するのが望ましい栄養素
成分 成分が多く含まれる食品
ビタミンC 煎茶、のり、ピーマン、ゆず、パセリ、レモンなど
ビタミンB12 のり、煮干し、鰹節、しじみ、あさり、レバー、いくらなど
鉄分 ひじき、青のり、レバー、パセリ、卵黄、鶏肉、あゆ、油揚げなど
ビタミンB6 にんにく、まぐろ、酒粕、かつお、いわし、鮭、鶏肉など

葉酸の吸収を助けるだけでなく、どの栄養素も健康な毎日には、欠かせない成分です。葉酸だけでなく、ビタミンやその他の栄養素とともに「バランスの良い食生活」を心がけてください。

葉酸は、体内に吸収されにくい?

ピーマンレモン鮪の刺身

葉酸は、体内に吸収されにくい性質を持っており、食事で補う場合は「最大でも50%」しか体内に吸収されません。ただ、サプリメントの場合は「体内への吸収率を考えて配合されるため」最大80~085%まで、体内に吸収することが可能です。

「食事の栄養バランス」を考えることも重要ですが、葉酸の吸収率をアップさせる、ビタミンCやビタミンB12、ビタミンB6を意識して、取るようにしましょう(マルチビタミンなどのサプリメントを補助的に使ってもOK)。

葉酸と各栄養素のつながりについて

ビタミンCやビタミンB12、鉄分、ビタミンB6などの主要な栄養素は、葉酸と一緒に摂ることで「どのような働きがあるのか」表にまとめてみました。

葉酸と各栄養素のつながりについて
成分 葉酸と各栄養素のつながりについて
ビタミンC 葉酸の吸収を良くし、葉酸の働きを助ける(鉄分の吸収も良くする)
ビタミンB12 ホモシステインを抑制、動脈硬化を予防する働きがある
鉄分 葉酸と並んで、赤血球の形成に必要な成分。葉酸と鉄を合わせて摂取すると、貧血の予防に効果を発揮する
ビタミンB6 ホモシステインを抑制、動脈硬化を予防する働きがある

葉酸と貧血

葉酸といえば「貧血の予防」といったイメージも強いのですが、貧血の予防には、葉酸のほか、症状に合わせて鉄分を摂取する必要があります。

貧血の原因は、葉酸不足だけでは無い?

貧血には、葉酸で予防できる貧血と、鉄分で予防できるものがあります。鉄分の不足で起こる貧血は「鉄欠乏性貧血」と言いますが、葉酸の不足で起こる貧血は「巨赤芽球性貧血」と呼ばれています。

貧血の種類と必要な栄養素について
貧血の種類 貧血の主な原因 必要な栄養素
巨赤芽球性貧血 体内での葉酸、ビタミンB12の不足、 葉酸、ビタミンB12
鉄欠乏症貧血 体内での鉄の不足、摂取不良、吸収障害など 鉄分

薬剤師に相談

病名でよく聞く「悪性貧血」は、巨赤芽球性貧血や鉄欠乏症貧血とは、分けて考えられています。悪性貧血は、胃の内因子(糖タンパク質)欠乏による、ビタミンB12の吸収障害が主な原因とされています。

このほかにも、妊婦に起こりやすい出血性貧血など、貧血の原因は栄養不足だけで無く、さまざまな症状と密接に関わりあっています。貧血の原因が分からない場合は、早めに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

シニア世代・葉酸で基礎体力をつけよう!

年齢を重ねると、食事の量や運動量も減りますが、同時に栄養や葉酸の吸収率も低下していきます(葉酸の不足も、そのひとつです)。

シニア世代・葉酸が不足するとどうなる?

シニア層

葉酸が不足すると、貧血のほか、疲労感や倦怠感などの症状が現れます。また、食欲不振、重度の場合は、認知症や筋力の低下、骨折なども起こりやすくなります。健康を維持するためには、栄養が偏らないよう食事のバランスに注意しましょう。また、運動不足にならないよう、適度な運動を取り入れるようにしてください(ラジオ体操などでOK)。

必要な葉酸を補うことで、高齢者の脳卒中や骨粗しょう症、アルツハイマーの予防が期待できます。また、必要な筋肉や細胞の再生にも葉酸のパワーが欠かせません。

いかなる場合も厚生労働省の推奨量を越えた、過剰摂取は控えてください。病気の種類によっては、葉酸の過剰摂取が副作用を起こす可能性があります。通院中の方は、医師に相談した上で、1日あたりの摂取量を決めるようにしましょう。

海外における、葉酸と高齢者の関わり

米国では、1998年以降「穀物に葉酸を添加することで、どのような健康改善が望めるのか」長期的な調査が行われています。現在、発表されている効果としては、脳卒中死亡率の低下、ホモシステインの減少による健康リスクの低下などが、上げられています。

ビタミン

日本での取り組み・葉酸と高齢者の健康管理

国内では、埼玉県坂戸市において、葉酸の摂取を推奨する「葉酸プロジェクト」が実施されています。葉酸プロジェクトでは、坂戸市と女子栄養大学がタッグを組み、高齢者を対象とした「認知症予防と食の講習会」を開催するほか、葉酸を使った特産品の販売、学校給食への食材提供など、さまざまな取り組みを行っています。

実際に、プロジェクトの取り組みを通して、坂戸市の高齢者医療費は低下、高齢者の介護保険給付金も減少傾向にあると言います。

私たちも、毎日の生活に葉酸を賢く取り入れ、健康でいきいきとした毎日を過ごしたいですね。

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