子どもの成長にとって、葉酸は欠かせない栄養素です。葉酸は、細胞分裂や造血作用を通じて、赤ちゃんの元気な体を作ってくれます。また、出産後の赤ちゃんは、お母さんの母乳を通じて、必要な葉酸や栄養を摂取しています。
成長によって変わる、葉酸の量
お子さんが成長するにつれて、必要な葉酸や「五大栄養素の量」は、多くなります。ここでは「お子さんの発育と葉酸」について、詳しく見ていくことにしましょう。
子どもに必要な栄養素とは?
お子さんが健やかで元気に成長するには、必要な栄養素をしっかり取ることが大切です。特に、体の基板を作る「五大栄養素」は、バランス良く摂取するようにしましょう。
五大栄養素と摂取推奨量
野菜や果物に含まれる葉酸、カロチン、小魚や牛乳に含まれるカルシウムは、食事で不足しやすい栄養素です。ここでは、五大栄養素の「推奨摂取量」にいて、簡単にまとめてみました。
葉酸は「ビタミン①水溶性」の項目を見てください。ミネラルやたんぱく質、炭水化物、脂質の推奨量は、以下の通りです。
年齢/栄養素 | ビタミン① 水溶性 (μg) 葉酸の場合 |
ビタミン② 脂溶性 (μg) ビタミンAの場合 |
ミネラル (mg) 鉄分の場合 |
たんぱく質 (g) |
炭水化物 (%エネルギー) |
脂質 (%エネルギー) |
---|---|---|---|---|---|---|
0~5カ月 | – | – | – | – | – | – |
6~8カ月 | – | – | 男: 5.0 g 女: 4.5 g |
– | – | – |
9~11カ月 | – | – | 男: 4.5 g 女: 4.5 g |
– | – | – |
1~2歳 | 男: 90 μg 女: 90 μg |
男: 400 μg 女: 350 μg |
男: 5.5 g 女: 5.0 g |
男: 20 g 女: 20 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
3~5歳 | 男: 100 μg 女: 100 μg |
男: 500 μg 女: 400 μg |
男: 6.5 g 女: 6.5 g |
男: 25 g 女: 25 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
6~7歳 | 男: 130 μg 女: 130 μg |
男: 450 μg 女: 400 μg |
男: 8.0 g 女: 7.5 g |
男: 35 g 女: 30 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
8~9歳 | 男:150 μg 女:150 μg |
男:500 μg 女:500 μg |
男: 9.0 g 女: 8.5 g |
男: 40 g 女: 40 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
10~11歳 | 男:180 μg 女:180 μg |
男:600 μg 女:600 μg |
男: 10.0 g 女: 10.0 g (月経あり:14.0g) |
男: 50 g 女: 50 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
12~14歳 | 男:230 μg 女:230 μg |
男:800 μg 女:700 μg |
男: 11.5 g 女: 10.0 g (月経あり:14.0g) |
男: 60 g 女: 55 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
15~17歳 | 男:250 μg 女:250 μg |
男:900 μg 女:650 μg |
男: 9.5 g 女: 7.0 g (月経あり:10.5g) |
男: 65 g 女: 55 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
18~20歳 | 男:240 μg 女:240 μg |
男:850 μg 女:650 μg |
男: 7.0 g 女: 6.0 g (月経あり:10.5g) |
男: 60 g 女: 50 g |
男: 50~65 % 女: 50~65 % |
男: 20~30 % 女: 20~30 % |
日本人の食事摂取基準(2015年度版)を参照
1歳からは、健康に必要な「摂取推奨量」が設けられています。成長の著しい時期には「体の発育に必要な」栄養が多く必要になります。男子の場合は、中学生から高校生の時期が多く、女子の場合は、小学校の高学年から中学生の「成長期」にあたる時期に(推奨される)栄養量が多めに設定されています。
健康な食事は、家庭から
成長の著しい時期には、家庭での食事やお弁当で必要な栄養が取れるよう、献立を工夫してあげてください。ビタミン(葉酸など)のほか、ミネラル、たんぱく質、炭水化物、脂質をバランス良く取れば、病気になりにくく、元気なお子さんへと成長します。
体内の赤ちゃんと葉酸
赤ちゃんがお腹の中にいる間は、お母さんの体を通じて「必要な栄養」が補われます。妊娠中の女性は(赤ちゃんの健康のためにも)推奨される栄養素をしっかり補うようにしましょう。
特に「妊娠初期」は、胎児の体や神経が作られていく大切な時期です。妊娠の4週目までに葉酸が不足すると、二分脊椎や無脳症の発症リスクが高まります。妊娠中は必ず、1日あたり約480μgの葉酸を摂取するよう心がけましょう。
葉酸の摂取は赤ちゃんの健康だけなく、お母さんの健康もサポートします。葉酸の成分が、貧血予防や産後の回復を助けるなど、健やかな母体を育んでくれます。
授乳中のお子さんと葉酸
授乳中は、1日あたり約340μgの葉酸を摂取するようにしましょう。母乳を通じて、必要な栄養が赤ちゃんに与えられます。また、離乳食を始めたら、ビタミンやカルシウム、カロチンなど、体の機能に必要な栄養素は、不足しないように気をつけてあげてください。
離乳食と献立
離乳食では、葉酸のほか「三大栄養素」を意識して献立を考えてましょう。
ビタミンとミネラル | たんぱく質 | 糖質 |
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野菜、果物、キノコ類、海草など(葉酸もここに含まれる)。 | 肉や魚、乳製品、卵などに含まれる(葉酸は、レバーやに多く含まれる)。 | 主食となる穀類(米やパン)のほか、芋類、麺類に含まれる。 |
授乳期は、お子さんによって個人差がありますが、1歳前後で「卒乳」するお子さんが多いです。また、卒乳の時期と同時に、離乳食の完了期に入ります。