葉酸の取り過ぎはNGって、ホント?
葉酸の過剰摂取は、食欲不振、不眠症、むくみ、吐き気などの副作用の危険性があり、注意が必要です。
このほかにも、葉酸の取り過ぎによる、毛細血管の拡張による湿疹や紅斑(こうはん)、発熱、じんましん、原因不明のかゆみ、呼吸困難、栄養素の吸収率低下などの症例が、報告されています。
過剰摂取で副作用が起こる理由
葉酸は、細胞の再生や新陳代謝を高めるなど、健康を促進しますが、過剰に摂取すると「葉酸過敏症」を発症するほか、小腸内で亜鉛が吸収されにくくなります。
亜鉛が不足すると、免疫力や抗酸化力の低下、味覚障害、肌あれなどの副作用も出やすく、服用の量には注意が必要です。
【メモ】亜鉛の吸収に影響する量は?
1日あたり、1,500μgまでの葉酸摂取であれば、亜鉛の吸収には影響しないと考えられていますが、推奨される量を越えて「過剰摂取」しないよう注意してください。
葉酸の過剰摂取・高齢者へのデメリット
特に注意したいのは「高齢者の過剰摂取」です。高齢者が葉酸を取り過ぎると、ビタミンB12欠乏症の判断を難しくし、神経症状の悪化や認知症の発症につながる危険性があります。
過剰摂取による、胎児へのリスク
妊娠中~授乳中は、葉酸の摂取が推奨されています。正しく摂取すれば、胎児の神経管欠損症や二分脊椎の発症リスクを抑えるなど、胎児の健康にとって大きなメリットを持っています。
しかし、葉酸の過剰摂取は母体だけで無く、胎児に悪い影響を及ぼします。「独立行政法人国立健康・栄養研究所」によると、葉酸の過剰摂取は、生まれたこどもの喘息発症率が高くなるほか、アレルギー疾患、呼吸困難になる恐れがあるなど、健康上のリスクが指摘されています。
葉酸、1日あたりの正しい摂取量は?
厚生労働省の通知によると、葉酸の「摂取推奨量」は、成人の場合1日あたり240μgと決められています。推奨量とは「最低限取っておきたい栄養素の量」を指しています。
年齢 | 平均必要量(推定) | 耐容上限量 | 推奨される量 |
---|---|---|---|
20代 | 男女共に200μg | 男女共に900μg | 男女共に240μg |
30代 | 男女共に200μg | 男女共に1,000μg | 男女共に240μg |
40代 | 男女共に200μg | 男女共に1,000μg | 男女共に240μg |
50~60代 | 男女共に200μg | 男女共に1,000μg | 男女共に240μg |
70代以上 | 男女共に200μg | 男女共に900μg | 男女共に240μg |
妊婦 | 440μg | – | 440μg |
授乳中 | 280μg | – | 340μg |
ここでの「耐容上限量」とは、体が許容できる栄養の量を表しています。この数値を超えると、過剰摂取になるので、耐容上限量は越えないよう、正しく栄養を摂取しましょう。
葉酸の耐容上限量は、減少している
2015年度版「日本人の食事摂取基準」における、葉酸の耐容上限量は、20代で(1日あたり)900μg、30代~60代は1,000μg、70代以降は、900μgと定められていました。
しかし、前回発表された(※2)2010年度版「日本人の食事摂取基準」では、20代で1日1,300μg、30代~60代は1,400μg、70代以降は1,300μgと、現在よりもかなり多い量の「耐容上限量」が定められていました。
最新のデータを参考にし、間違った過剰摂取は避けるようにしましょう。
※2)5年毎に改正されている
葉酸・食事で補うのは大変!
葉酸含有量が多い、ほうれんそうには、100gあたり210μgの葉酸が含まれていますが、単体で「必要な葉酸」を摂取しようとすれば、1日あたり、14株もほうれんそうを食べる必要があります。
しかも、葉酸は「水溶性の栄養素」で、調理中に栄養素が溶け出すなどの理由から、食品から摂取するのが難しい成分です。必要な葉酸は、野菜や食品から摂取するのが望ましいのですが、食事で取るのが難しい場合は、葉酸サプリメントからも必要な栄養素が補えます。
葉酸サプリメントの摂取は、用量を守って
葉酸サプリメントは、摂取しやすいのがメリットですが、手軽に飲める分「過剰摂取に気をつける必要があります。
平均的な耐容上限量は「1日900~1,000μgまで」と決まっていますが、厚生労働省の推奨している「1日240μg」の量を基準にすれば、過剰な摂取は防げます。妊娠中は1日440μg、授乳中は340μgを目安に、葉酸を摂取しましょう。