「猫の健康」にも、葉酸を欠かすことはできません。ここでは「猫の健康と葉酸」の関係について、詳しく説明したいと思います。
猫は本能的に常に葉酸を摂取している?
猫は草を食べるって本当?
猫は「草を食べる」のをご存じでしょうか? 猫は、自然に映える草を食べて、胃腸の状態を整えたり、健康に必要な葉酸を補っているのです。
猫に葉酸を与えるには?
犬や他の動物と違い、猫の食事スタイルは「自由度が高い」のが特徴です。食事スタイルのは、飼い主が管理して与える方法と、食べるタイミングや量を「猫に任せる」方法の二種類があります。
また、給餌のスタイルには、定量給餌、定時給餌、自由採食の三種類があります。それぞれの給餌法が持つ、メリットとデメリットを比較してみましょう。
方法 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
定量給餌 | 飼い主が食事の量を決めて与える | 猫の健康管理がしやすい | 準備に手間がかかる |
定時給餌 | 飼い主が食事を与える時間を決める | 猫の健康管理がしやすい | 食べ過ぎに気が付きにくい |
自由採食 | 猫が好きな時間、好きな量の食事を食べる | 手間がかからない | 猫が食べ過ぎ、肥満になる確率が高い |
猫に葉酸を与える場合は、定量給餌や定時給餌を選ぶようにしましょう。猫の肥満を防ぐには、食事が偏らないように注意し、葉酸やその他の栄養素をバランス良く補う必要があります。次の項目では「猫に必要な栄養素」について、詳しく説明しましょう。
猫に人間用の葉酸サプリを与えても大丈夫?
人間用のサプリメントは、絶対に与えないでください。人間用のサプリメントは、人間の体格を計算して栄養素が配合されています。猫に直接与えては、過剰な栄養素が体内に蓄積され、猫の健康を損なうことになります。猫には、猫用のサプリメントや食事を与えるようにしましょう。
人間と同じ?猫に必要な栄養素
猫に健康に必要な栄養素は、ビタミンやたんぱく質、水、炭水化物、ミネラル、脂質などの栄養素です。
ビタミン(葉酸など) | タンパク質 |
水 | 炭水化物 |
ミネラル | 脂質 |
猫に必要な栄養素について
ビタミン
ビタミンは、野菜や果物などに多く含まれる栄養素です。ビタミンには、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの二種類があります。
葉酸は「水溶性ビタミン」で、水に溶ける性質を持っています。同じ水溶性ビタミンには、ナイアシンやパントテン酸、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12があります。
「葉酸」は、DNAと赤血球を合成するほか、細胞の再生、臓器の形成に欠かせない栄養素です。葉酸が不足すると、口内炎や舌の炎症が起こるほか、食欲不振、体重の減少、赤血球の減少、巨赤芽球性貧血、低色素性貧血などの症状が起こります。
たんぱく質
たんぱく質は、魚や肉、大豆製品、牛乳、チーズなどに多く含まれます。たんぱく質は、体内でアミノ酸に分解されて、筋肉やホルモンなどの生成に使われます。
猫の体内でもアミノ酸は生成されますが、子猫から成猫になるまでの期間は、成長のスピードが速く、必要なアミノ酸は不足しがちになります。猫の健康のためにも、必要なたんぱく質やアミノ酸はしっかり補うようにしましょう。
葉酸は、たんぱく質とアミノ酸の生成をサポートする
葉酸は、造血作用や細胞の修復だけでなく、たんぱく質やアミノ酸の生成を促進します。たんぱく質を摂取する時には、葉酸も合わせて取るようにしましょう。
猫の水分補給
猫の体は、60%〜70%(成猫)が、水分で占められています。また、子猫の場合は、体の約80%〜90%が、水分で占められています。
飼っている猫が「脱水症状」にならないよう、必要な水は十分与えるようにしましょう。猫が「1日に必要とする水の量」は、次の式で計算できます。
猫に必要な水分量
猫の水分が不足すると、脱水症状のほか、膀胱炎、膀胱結石や腎結石が発症リスクが高まります。また、脱水症状が酷くなると、意識障害や生命の危機にも陥ってしまいます。
猫は、喉が渇いても「我慢する能力」を持つ動物ですが、健康のためにも必要な水は不足しないよう、飼い主である私たちが注意してあげてください。
葉酸の含まれる「猫用飲料水」
猫用にも、さまざまな飲料水が販売されています。専用の飲料水には、猫の脱水症状が起こらないようナトリウムやミネラル、ビタミン(葉酸)を含んだ商品も多いです。猫の健康が気になる場合は、専用の飲料水から水分を取り入れましょう。
ミネラル
ミネラルは、丈夫な骨や筋肉の生成をサポートするなど、猫の生存活動に欠かせない、必須栄養素です。
カルシウム | 鉄分 |
---|---|
骨や骨格を形成する | ヘモグロビンの中で酵素を運ぶ |
マグネシウム | リン |
カルシウムと共に筋肉の働きをサポート | 筋肉、カルシウムの正常な働きをサポート |
ナトリウム | カリウム |
カリウムと共に、血管の正常な働きをサポートする | ナトリウムと共に、血管の機能を正常になるようサポート |
ヨウ素 | 亜鉛 |
甲状腺ホルモンを生成する | 細胞分裂の正常化、酵素の活性を行う |
葉酸とミネラルの関係
葉酸は、赤血球を合成や造血に必要な栄養素です。同じく、ミネラルにも血管の機能を正常化する作用があります。美しい血を作るには、葉酸とミネラルをバランス良く摂取するようにしましょう。
脂質
脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二種類があります。飽和脂肪酸は、肉に含まれている成分で、体温の調整を促します。また、不飽和脂肪酸は、青魚や植物の中に含まれる成分で、皮膚病や不妊症のリスクを抑える効果があります。
脂質は健康維持に欠かせない成分ですが、偏って摂取する、疾病のリスク(黄色脂肪症など)が高くなります。リスクを減らすためには、ビタミンや脂質をバランス良く取るようにしましょう。
脂質と「葉酸」の抗酸化作用
「葉酸」には、脂質の酸化を抑える(抗酸化作用)効果があります。肥満が気になる場合は、葉酸やビタミンを意識して取る良いでしょう。
猫の一日に必要な摂取カロリー
自宅で飼う場合、食べ過ぎや運動不足が原因で「肥満になる猫」も少なくありません。太りすぎが気になる場合は、抗酸化作用のある葉酸やビタミンのほか、必要な栄養素をバランス良く与えてあげてください。
自家製ごはんは危険?栄養のバランスに気を付けましょう
自家製フードにしてしまうと(栄養の)バランスを取るのが難しくなります。太りすぎが気になる場合は、ダイエット専用のフードを与えるようにしましょう。また普段から、炭水化物質や脂質が過剰にならないよう、注意して食事を与えてください。
猫の妊娠と出産には葉酸が必要不可欠
猫の妊娠時は(母体の健康のために)たんぱく質、脂肪が必要になります。また、子猫のDNAの形成には、葉酸が欠かせません。
葉酸のほかにも、性ホルモンの合成に必要なベータカロテン、繁殖障害の発生リスクを抑えるタウリン、神経細胞の生成に必要なEPAやDHAと共に、必要な栄養を与えるようにしましょう。
出産後は母乳を通じて、子猫に栄養が伝わります。子猫の健康には、たんぱく質や脂質のほか、免疫力を強化するビタミンCが欠かせません。また、授乳中の母猫は、通常の2倍から3倍以上のエネルギーを必要とします。キャットフードなどで、バランス良く栄養を与えるようにしましょう。
離乳後の子猫の健康と栄養管理
離乳後の子猫は、専用のフードで栄養管理をしましょう。キャットフードには、まぐろやささみをベースにカルシウム、ミネラルがバランス良く配合されています。また、キャットフードの多くは、毎日の健康に必要なビタミンや葉酸を多く含んでいます。
猫用のサプリメントについて
市販のキャットフードだけでは、栄養のバランスが取り辛いことがあります。この場合は、猫用のサプリメントで、不足している栄養素を補うようにしましょう。
猫用のサプリメントは、主成分や目的別(健康維持やダイエットなど)に探すことができます。また、葉酸は猫用の「マルチビタミン」製品に含まれることが多いです。猫の葉酸不足が気になる方は、これらの製品をバランス良く与えるようにしましょう。