葉酸は、腸内細菌によって生成されるため、完全に欠乏することはありません。ただ、食事や生活習慣が原因によって、葉酸が欠乏することは珍しくありません。
低栄養の(栄養の偏った)食事を続けたり、アルコールの過剰摂取、喫煙量の増加、葉酸を多く必要とする妊娠時・授乳中には、必要な葉酸が不足してしまいがちです。
健康をつかさどる栄養素・葉酸
健康のバランスを損なわないためには、葉酸や必要な栄養が不足しないよう、普段の食事や生活習慣を見直すことが大切です。葉酸を正しく摂取することで、細胞の再生、皮膚や粘膜の強化、赤血球の合成、アミノ酸やたんぱく質が正常に生成されます。
ここでは、葉酸が「体内でどのような働きを行うのか」体内のメカニズムについて、詳しく説明したいと思います。
葉酸の働き/細胞の再生効果
私たちの細胞は、常に生まれ変わっているのをご存じでしょうか? 体内の細胞は、DNAにおける「遺伝子情報」を元に生成されているのですが、葉酸はDNAを形成する「核酸」の生成を助け、細胞の再生をサポートしています。
粘膜の強化
細胞の再生は、治癒力のアップだけでなく、粘膜を形成し、口の中や胃壁、腸を守る働きがあります。このため、必要な葉酸を摂取することで、胃潰瘍や口内炎の予防効果が高まります。
皮膚の再生とアンチエイジング
細胞が活発に再生されると、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)も促進されます。実際に葉物の野菜を多く摂取することで、肌の老化を予防し、アンチエイジングにも優れた効果が発揮されます。
また、肌の生まれ変わりだけでなく(葉酸の造血効果によって)血の巡りが良くなり、肌のくすみや肌荒れの改善にも良い影響が作用します。
うるおいのある美肌を目指すには、化粧品などの外側からのケアだけでは不十分です。葉酸やビタミン類など「必要な栄養」を摂取し、内側から肌の再生を促す必要があります。
葉酸の働き/赤血球の合成
葉酸は、ビタミンB12と共同して「赤血球の生成」をサポートします。葉酸など、ビタミンB群を摂取することで「成熟した赤血球」が合成されるのですが、赤血球が正常に作られると、悪性貧血(巨赤芽球性大球性貧血など)の発症リスクが低下します。
巨赤芽球性大球性貧血
「巨赤芽球性大球性貧血」は、葉酸やビタミンB12の不足で起こる、症状のひとつです。
葉酸やビタミンB12が不足すると、細胞分裂の生成が機能しなくなります。また、骨髄の中で未熟な赤血球が大きくなることで、血液中の赤血球や血小板が正常に機能しなくなり、巨赤芽球性大球性貧血を発症します。
葉酸の働き /アミノ酸、たんぱく質の生成
葉酸は、アミノ酸やたんぱく質の生成にも関わる重要な栄養素です。
葉酸が生成する「アミノ酸」とは?
アミノ酸は「生命の源」と称される、生命活動に欠かせない栄養素でです。体内では、損傷した筋肉の修復のほか、疲労回復、免疫力のアップ、基礎代謝を高めるなど、重要な働きを担っています。
また、アミノ酸は「コラーゲン」の原料となっており、若々しい肌や健康な体をつくる「美しさの源」です。
葉酸が生成する「たんぱく質」とは?
たんぱく質(プロテイン)は、アミノ酸と並んで、生命の活動に不可欠な栄養素です。たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、毛髪を生成するほか、免疫力のアップ、血液の正常な働きをサポートします。
たんぱく質は、前述の「アミノ酸」が結合によって生成される成分です。葉酸を取ることで、アミノ酸とたんぱく質が作られ、人間の生命活動に必要なエネルギー源として作用します。
胎児の健康な体をつくる
胎児の時期には、細胞分裂が活発に行われます。このため、葉酸の「細胞生成」が、胎児の健康に大きく影響してくるのです。また葉酸の摂取は、造血作用や生命活動に必要なアミノ酸、たんぱく質を生成します。
お母さんの健康だけでなく、赤ちゃんの健康のためにも、必要な葉酸をバランス良く摂取するようにしましょう。