葉酸欠乏性貧血と呼ばれる葉酸不足で起こる貧血「普段から必要な葉酸を摂取しよう」

葉酸が不足すると、めまいや立ちくらみなどの貧血症状が現れます。こうした症状が出たら、早めに医師に相談するようにしましょう。また、葉酸不足で貧血にならないよう、普段から「必要な葉酸を補う」よう心がけてください。

ここでは、葉酸不足で起こる「貧血の種類」について、詳しく説明しましょう。

葉酸不足が原因で起こる貧血

葉酸は、汗や排尿によって失われる栄養素です。葉酸は体内にストックできない栄養素なので、毎日「必要な量」を継続して補う必要があります。

葉酸欠乏性貧血は、栄養失調が原因で起こります。三食きちんと食べていても、ビタミンが不足し、栄養失調(葉酸不足)にかかりやすくなるのです。

なぜ、栄養失調が起こるの?

問診中

葉酸は水や加熱に弱く、調理の段階で多くの栄養素が失われてしまいます。葉酸を取る場合は、加熱や水の使用を控えめにし、栄養素を残した状態で取るようにしましょう。

また、私たちが大好きな主食(ご飯・麺・パン)には、葉酸が含まれていません。甘いものや飲料にも、葉酸は含まれていないので、注意が必要です。

葉酸が多く含まれる食材には、葉物の野菜(ほうれん草、ふきのとう、パクチー)や肉類(豚・鶏・牛レバー)や海藻類(海苔)などがあります。調理方法を工夫し、多くの葉酸を意識して取るようにしてください。食事でカバーするのが難しい場合は、サプリメントで効率よく補うようにしましょう。

葉酸欠乏性貧血の症状

血中の葉酸が不足すると「葉酸欠乏性貧血」が起こります。貧血の症状は、めまいや立ちくらみだけではありません。放っておくと意識障害や歩行障害など「重篤化」するので、危険です。

気になる症状があれば、できるだけ早めのケアを心がけてください。葉酸欠乏性貧血の主な症状(重い症状も含む)は、以下の通りです。

葉酸欠乏性貧血の症状

動悸、息切れ、疲労感、頭痛、顔面蒼白、舌の炎症、口内炎、食欲不振、体重の減少、白髪、悪心、意識の混濁、しびれ、知覚障害、歩行障害、興奮状態、急性連合脊髄変性症、精神疾患など

点滴

また、妊娠中に葉酸欠乏性貧血になると、胎児に先天性疾患(無脳症や二分脊椎)が発症発症しやすくなります。葉酸不足で貧血が起こる場合は、サプリメントなどで葉酸を補うようにしましょう。また、自覚症状があれば早めに、医師の診察や治療を受けてください。

葉酸欠乏性貧血と悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の違い

葉酸不足で起こる貧血は、葉酸欠乏性貧血だけではありません。葉酸の吸収が低下することで起こる、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)があります。

葉酸欠乏性貧血は、葉酸の摂取不足、葉酸の吸収率低下が原因です。これに対して、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)は、萎縮性胃炎が原因で起こる病気です。

悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の症状

倦怠感、立ちくらみ、脱力感、手足のしびれ、ふらつき、食欲不振、意識障害、めまいなど

萎縮性胃炎は、胃粘膜が炎症する病気で、A型胃炎やB型胃炎の名称で知られています。

胃粘膜が萎縮すると、葉酸やビタミンB12の摂取が阻害されます。このため、DNAの生成が機能せず、巨赤芽球(赤血球の細胞核や細胞質が以上に大きくなる)ができるのです。血管内で「巨赤芽球」ができると、血液中の赤血球の数が減少し、貧血の症状を引き起こします。

悪性貧血は、胃粘膜の問題だけでなく、胃の摘出手術を行った場合にも発症します。また、悪性貧血は(胃の問題だけでなく)、ベジタリアンの方にも出やすい症状です。長期間肉類を食べない場合は、決して自己流ではなく、指導者のもと「正しい食事法」を実践するようにしましょう。間違った食事法は、重大な病を招きます。

悪性貧血の治療法は?

悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の場合も、葉酸の注射や経口投与で治療を行います。

葉酸欠乏症貧血を放っておくと?

葉酸欠乏症貧血は、早めの治療が大切です。症状に気づいたら内科を受診し、血液検査を受けてください。症状が軽い内に治療を行えば、症状の回復も早くなります(補足:症状が軽ければ、経口投与などで治療を行います)。

葉酸欠乏性貧血とよく似た症状の病気

採血

葉酸欠乏性貧血と間違えやすい病気に、赤白血病や骨髄異形成症候群、造血悪性疾患などがあります。また、がんにも似た様な症状があります。「貧血だから」と自己判断をせず、気になる症状があれば、医師の診察を受けるようにしてください。

葉酸欠乏症貧血の治療法

葉酸欠乏症貧血の治療は、点滴か注射で「ビタミンB12」を投与します。はじめの2週間は毎日投与し、症状が落ち着いてきたら、1~2カ月に1度の間隔で治療(点滴か注射)を行います。また、症状が出ないように、長期間に渡って治療を続けるケースがほとんどです。

葉酸欠乏症貧血の予防法

葉酸欠乏性貧血は、一度掛かると治療が大変です。また、治るまでに長期通院をする必要があります。このため、葉酸欠乏性貧血にならないよう、普段から葉酸を多く取るようにしましょう。

ビタミン

葉物の野菜、果物のほか、慢性的に葉酸が不足しないよう、サプリメントなどを上手に取り入れてください。特殊な場合を除いて、多くの場合は食事の偏りや(栄養)吸収率の問題です。栄養の吸収率が落ちている場合は、推奨値よりもやや多め「1日あたり300μg~400μg」の葉酸を取るようにしましょう。

こんな症状が出ると葉酸不足かも?

めまい

体がなんとなくだるい、疲れやすい、動悸や息切れといった症状も、葉酸不足が原因かもしれません。体調が優れない時には、栄養のバランスが良い食事を食べ、しっかり休息を取るようにしましょう。また、食事で補うのが難しい場合は、葉酸やマルチビタミンのサプリメント、葉酸ドリンクなどで、不足した栄養を補うようにします。

葉酸欠乏症貧血の予防法

葉酸欠乏性貧血だけでなく、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の予防にも、葉酸を取ることが大切です。貧血の症状が出ないよう、普段から葉酸を多く取るようにしましょう。

食事と共に、サプリメントなどで「栄養の取り方」を意識してみてください。食事の記録などを付ければ、慢性的に何が足りていないのか(不足した栄養素)が見えてくるはずです。

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