葉酸は、赤血球の合成に必要な成分です。このため、葉酸は「造血の栄養素」とも呼ばれています。葉酸は、どのように赤血球を合成しているのでしょうか。ここでは、葉酸と造血のメカニズムについて説明します。
赤血球とは?
赤血球は、体の各細胞へ酸素を送り込みます。また、二酸化炭素を運び出し、肺へと放出する役目を果たします。赤血球の大きさは、約約8μmで、中心はくぼんだ形をしています。また、狭い毛細血管にも酸素が運びやすいよう、弾力性のある円盤状の形をしています。
赤血球は生成されてから、約4カ月(120日)で寿命を迎えます。
赤血球の成分
赤血球は、ヘムグロビン(鉄とたんぱく質の化合物)によって形成されています。ヘムグロビンの元である「ヘム」とは、鉄を表しており、グロビンは、たんぱく質を表しています。
赤血球のできる場所、終わる場所
「1日あたり4万~5万個」もの赤血球が(腎臓内のホルモンの指令により)骨髄で生成されています。また、同量の赤血球が(4万~5万個)脾臓や肝臓で分解されます。
破壊された赤血球は、肝臓にて「胆汁」となり、十二指腸へと送り込まれます。胆汁は、胆のうにストックされた後、消化の働きを助けます。
葉酸は(赤血球の)どの部分に関わっているのか
葉酸は、たんぱく質の合成に関わる「補酵素」として働きます(補酵素は、葉酸だけで無くビタミンB12も必要)。補酵素は、成熟した鉄とたんぱく質の働きを促進し、赤血球の生成に関わっています。
赤血球の数が減少すると?
赤血球の数が減少すると、めまいや貧血が起こります。赤血球の基準値は、男女ともに
「300万個」を基準に貧血かどうかを判断します。赤血球値(数)は、幼児が最も多く、加齢とともに少なくなっていきます。
また女性の場合は、月経や妊娠時に、赤血球の数が少なくなります。月経周期や妊娠の期間中、貧血が起こりやすいのはこのためです。
赤血球が多すぎてもNG!
赤血球が不足しても貧血が起こりますが、赤血球が増えすぎても「多血症」などの症状が起こってしまいます。多血症になると、血管内の血液量が増え、血管が詰まりやすくなるので注意が必要です。
赤血球の数が正常でも、貧血が起こる?
赤血球の数が正常値でも、貧血が起こることがあります。それは、ヘモグロビンの数が減少しているケースです。測定で赤血球の数が十分だった場合でも、ヘモグロビンの不足により、酸素が細胞に行き渡らず、貧血が起こるのです。
赤血球をつくる葉酸
葉酸を補うことで、赤血球の合成を支え、貧血を予防することができます。また、葉酸は血液の凝固を抑え、血の流れを良くする効果があります。
葉酸 + 鉄分 = 貧血予防に最適!
葉酸に加えて、貧血の原因である鉄分も合わせて補うようにしましょう。葉酸(ビタミン)、鉄分などをバランス良く補えば、生理中の不快な症状、妊娠中のつらい症状が緩和されます。また、赤血球の生成が正常に行われると、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも繋がります。
貧血にはレバーが良いってホント?
鶏・豚・牛レバーの中には、葉酸が豊富に含まれています。このため、貧血には「レバーを食べると良い」と言われているのです。ただ、同じレバーでも鶏や豚、牛レバーでは「含まれる葉酸の量」は異なります。
鶏レバー | 1,300μg |
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牛レバー | 1,000μg |
豚レバー | 800μg |
加熱をすると、レバーに含まれる葉酸の量は「30%~50%以下に」減少します。また、レバーの食べ過ぎには注意が必要です。なぜなら、レバーには脂溶性ビタミン(ビタミンA)が大量に含まれており、取り過ぎてしまうと、体内に過剰に蓄積され「ビタミンA過敏症」が起こってしまうからです。
ビタミンAの大量摂取は、吐き気やめまいだけでなく、流産の危険性も高まります。このため、妊娠中の女性は脂溶性ビタミンではなく、野菜や果物に含まれる葉酸(水溶性ビタミン)を中心に取るようにしましょう。
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